祇園祭とは、7月1日から始まり7月31日にわたる1か月間の祭りです。ご存じでしたか?本当に長い祭りですよね。7月1日の「吉符入」で始まり、7月31日の「疫神社夏越祭」で終わります。その中で、一番注目を集める行事が『山鉾巡行』です。
祇園祭りの主な行事
7月の京都では1か月間祇園祭りに関わるお祭りが行われます。主な行事だけでも下記のように2日に1回の割合で市内どこかでお祭りが行われます。
- 吉符入り(7月1日)
- くじ取り式(7月2日)
- 神面改め(7月3日)
- 長刀鉾の児舞披露(7月5日)
- 綾傘鉾の稚児社参(7月7日)
- 清祓い(7月8日~)お迎え提灯
- 前祭 曳き初め(7月12日)
- 長刀鉾の稚児社参(7月13日)
- 斎竹【いみたけ】建て(7月15日)
- 大政所 神剣拝戴(7月16日)
- 前祭 山鉾巡行/しめ縄切り(7月17日)
- 後祭 山鉾曳き初め(7月20日)
- 煎茶献茶祭(7月23日)
- 後祭 山鉾巡行(7月24日)
- 狂言奉納(7月25日)
- 神興洗(7月28日)
- 神事済奉告祭(7月29日)
- 疫神社夏越祭(7月31日)
2022年山鉾巡行スタート(前祭7月17日)
いよいよ2022年山鉾巡行(前祭)が始まりましたね。3年ぶりのに復活しました。何と言ってもあの「コンチキチン」の「祇園ばやし」は、心を躍らせますね。
・2022年山鉾巡行(ここをクリック)
・(参考)有料観覧席情報(ここをクリック)
ところで祇園祭の楽しみは何と言っても次の四つです。
①山鉾の組立や鉾の中を見学
各山鉾では、山鉾巡行に先立ち、鉾が組みあがったところで山鉾の内部を公開しているところが多いです。有料の所もありますが、今回は鶏鉾に上って外を見た写真でどのような様子かをお楽しみ下さい。とても高い所(3m以上)なので少し不安になりますが、なかなか良い眺めです。但し、山鉾によっては、山鉾の内部を「女人禁制」のため見ることができないことがあり、非常に残念です。

私のお気に入りのYoutuberが山鉾組み立て動画を上げていますので、是非ご覧下さい。
・山鉾組立の様子(ここをクリック)
②粽(ちまき)やタオルなどのお土産
祇園祭の楽しみの一つは、何と言ってもお土産ですね。その中でも一番人気があるのは、各山鉾で販売されている「粽(ちまき)」です。写真は「放下鉾」のものですが、本当に記念になります。但し、ここの粽は食べられませんので注意下さい。

蘇民将来の子孫也? なぞの呪文!
ところで「粽」に書かれている文字が気になりませんか?この不思議な言葉は、謂れがあるのです。その昔、牛頭天王(ごずてんのう)と呼ばれる神様が旅の途中で町の長者に宿所を頼んだのですが、この長者はそれを断りました。ところが、その長者の兄(蘇民将来)は、宿を貸しさらに粟めしをふるまいました。
牛頭天王はその親切にひどく感謝し、「蘇民将来の子孫を悪いことから守る」という約束をしたのでした。その言葉が祇園祭の「粽」にその言葉が記載されているのです。
③この期間しか味わえない食べ物(しみだれ豚まん)
この期間でしか味わえない食べ物としてお薦めなものは、「しみだれ豚まん」です。食べたことのない方にはイメージがわからないと思いますが、一言でいえば「マックドナルドの照り焼きチキンバーガー」のタレで、豚まんを覆っているような食べ物です。
その店は、阪急烏丸駅(地下鉄四条烏丸駅)から徒歩3~4分のところにあります。
お店の名前は、「膳處漢ぽっちり」(ここをクリック)といいます。祇園祭だけの限定販売(500円/個)です。知る人ぞ知るお店なのでいつも混んでいます。直近で訪れてたときには炎天下の中長蛇の列で、買うまでに約30分並びました。
なお、期間は7/13~7/16の限定販売となりますので、お近くに行った際は是非その味を堪能下さい。
・膳處漢(ぜぜかん)ぽっちりの「しみだれ豚まん」の様子(ここをクリック)
その他にも、ビール、ウィスキー等の飲料や焼き鳥等の屋台が多数出展しておりとても楽しい1日を満喫できます。
④この期間のみの「屏風祭り」
各鉾町では、山鉾巡行に先立ち山鉾に施す豪華な化粧飾りを「屏風祭り」と称して、一般に開放展示します。有料の所もありますが、無料の場所でもその豪華さや素晴らしさを十分堪能できます。ここでは、私が大好きな「放火鉾」の懸装飾りを一部をご紹介します。一番のおススメは、「ローケツ染めのフクロウ」と三光丸(稚児人形)です。

この展示資料は、本当に一部ですが歴史的に貴重な海外輸入品の絨毯等がたくさん見られますので、是非訪れて下さい。


宵山の様子(前祭)
そして巡行前日の「宵山」です。メインの通りは歩行者天国になり多くの屋台が楽しめるようになります。特に夕方のある時間から四条通りや烏丸通りの一部が一気に解放され、いままでの歩道、車道、お店の姿が一変します。多くの方が通りを埋め尽くし、新しいお店が出現した姿は本当に驚かされます。
ここでは、その様子を写した動画を紹介します。
・宵山(前祭)の様子(ここをクリック)
2022年山鉾巡行(後祭7月24日)
7月24日は、後祭の山鉾巡行がスタートします。こちらの巡行はあまりテレビ放送をされないので残念です。山鉾の数も前祭の23基に比べ11基と少ないこともあり、注目を集めることは少ないのです。
注目の大船鉾
しかし、その中でも最近、一番注目を集めている鉾が、「大船鉾」です。この鉾は、2014年に復活して巡行に加わりました。巡行の参加する前に一時、京都駅前のヨドバシカメラの中で展示されていましたのでご存じの方も多いと思いますが、非常に派手で、大きな山鉾です。
もう一つ見逃せないことは、船首を飾りです。この飾りは、「金幣」、「龍頭」の2種類があり毎年変わるのです。この「龍頭」は新しく作られたものであり、祇園祭の間は大船鉾町でもその一部分を見ることができます。(格子の間から何とか撮影)その大きさや迫力に見逃せませんので祇園祭の期間(7月中)に訪れた方は是非ご覧ください。

更に、鉾上部の天井画も2022年から新しいもの変えられました。これは日本画家の「上村淳之さん」の作によるものでNHKで紹介されました。これも、是非、機会があれば鑑賞下さい。
デビューした鷹山
2022年は200年ぶりに復活した鷹山が初めてお披露目されますね。1826年以来「休み山」として、巡行に参加しなくなり残念でしたが、やっと復活をとげて山鉾巡行に参加します。その準備は2012年に始まり、コンチキチンの祇園囃子の製作から、山鉾の設計、懸装の準備、巡行メンバーの確保など並々ならぬ努力があったと想像されます。
ここでは、巡行前の様子を伝えてくれる動画が有りましたので、ご紹介します。
・鷹山曳き初めのYoutube(ここをクリック)
宵々山の様子(後祭)
とにかく、この時は人出が多いですね。人が多いだけでなく出店が多いので是非その雰囲気を堪能下さい。
・宵々山の様子(ここをクリック)
後祭りの山鉾巡行
クマゼミの鳴き声が大きく聞こえるなか2022年デビューの「鷹山」、しんがりの「大船鉾」と見どころ満載巡行でした。山鉾の数は、前祭に比べ約半分の11基ですが、巡回コースは、前祭の逆になります。特に、巡行の最後を飾る『大船鉾』はその大きさ、船首の龍頭が素晴らしいです。
・後祭り山鉾巡行(ここをクリック)
山鉾巡行の歴史と意義
山鉾巡行の歴史
祇園祭りの起源は平安時代の869年に京都で疫病が大流行した際、病人、死人が多数が出ました。そのため八坂神社の神輿を迎えて災禍が鎮まるようと日本の国の数(66か国)の山鉾を立て悪病をこの山鉾に集めて退散させるために祭事が始まりました。そのため、山鉾巡行が終わるとその日のうちに『山鉾』は解体されます。
八坂神社の祇園会として始まったこの祭りは応仁の乱(1467年 – 1477年)や幕末の蛤御門の変(1864年8月20日)などで一時中断され、また火災により山鉾が災禍に会うなど困難が多々ありました。そのため、巡行できない山鉾(大船鉾、鷹山等)が増えていきました。
現代立てられる山鉾は、前祭の23基、後祭11基の34基と当初に比べて数が少なくなっています。しかし、「休み山」【例:布袋山】と呼ばれる復活が待たれる山鉾もまだあり、今後の展開が期待されています。
ところで室町時代や桃山、江戸時代は山鉾の懸装品は町衆の力を見せる場でもあり、中東、ヨーロッパなどの絨毯(国宝クラス)をまとおい、「動く美術館」と呼ばれる品々を見せる場としてだんだん豪華になっていきました。
山鉾巡行の『山』、『鉾』の違い
尚、『山』、『鉾』の違いは、一番上に取り付けたものの違いでその名が異なります。刀などの特有のシンボルマークがあるものが『鉾』です。また、松の木などの木が取付けられているのもが『山』となります。
各山鉾の説明
各山鉾(34基)の詳細説明は、下記の山鉾名をクリックして確認下さい。
(前祭) 山鉾巡行順番長刀鉾(なぎなたほこ)孟宗山(もうそうやま)保昌山(ほうしょうやま)郭巨山(かっきょやま)函谷鉾(かんこほこ)白楽天山(はくらくてんやま)四条傘鉾(しじょうかさほこ)油天神山(あぶらてんじんやま)月鉾(つきほこ)蟷螂山(とうろうやま)山伏山(やまぶしやま)霰天神山(あられてんじんやま)鶏鉾(にわとりほこ)木賊山(とくさやま)綾傘鉾(あやがさほこ)占出山(うらでやま)菊水鉾(きくすいほこ)芦刈山(あしかりやま)伯牙山(はくがやま)太子山(たいしやま)放下鉾(ほうかほこ)岩戸山(いわとやま)船鉾(ふねほこ) | (後祭) 山鉾巡行順番橋弁慶山(はしべんけいやま)北観音山(きたかんのんやま)浄妙山(じょうみょうやま)鯉山(こいやま)鈴鹿山(すずかやま)南観音山(みなみかんのんやま)役行者山(えんのぎょうじゃやま)黒主山(くろぬしやま)八幡山(はちまんやま)鷹山(たかやま)大船鉾(おおふねほこ) |
祇園祭期間中の「京都駅の装い」(7月1日~7月31日)
この7月の期間中、京都駅の中に山鉾の提灯が展示されています。是非、この場所を探してこの光景を写真に残しましょう。

山鉾巡行の様子(2022年)
山鉾巡行の様子で、最大の見せ場は何と言っても「辻回し」(ここをクリック)ですね。特に大きな山鉾が90度向きを変える動きは目を見張ります。その進め方も独特で、何本にも割いた竹を十数本並べます。その上に山鉾の車輪を乗せ、水をまいて車輪をすべりやすくしたのち、引手の方々が山鉾を向かう方向に引っ張ってを向きを変えます。それも一度では上手く向きが変わらずに3~5回の辻回しが行われる場合もあります。
その辻回しは、四条通りと河原町通りの交差点と御池通りと河原町通りの交差点の2箇所です。もし、巡行を様子を堪能したいのであればこの場所箇所から見学しましょう。
・7月17日山鉾巡行(前祭り)Youtube(ここをクリック)
山鉾巡行の順路
前祭りの山鉾巡行は四条通りの烏丸口を起点に東へ進みます。そして、河原町四条、河原町御池で向きを変え烏丸御池で終了となります。巡行の時間は朝9時にスタートして3~4時間かかります。詳細は下記の巡行図をご覧ください。後祭りの巡行では、逆コースで進みます。朝9時半にスタートを行い四条烏丸で終わるルートです。
・前祭り/後祭り山鉾巡行の巡行図(ここをクリック)
山鉾へのアクセス
各山鉾へのアクセスの基本は、四条烏丸駅が起点となります。そのため、京都駅からは地下鉄烏丸線で向かう(約5分)ことがベストです。
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